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イベントレポート

2016/11/29
がん対策推進企業アクション「山口セミナー」を開催しました

2016年11月29日、宇部市のANAクラウンプラザホテル宇部で〈がん対策推進企業アクション「山口セミナー」〉を開催しました。全国7ブロックで開催されるセミナーの第6弾。約150名が参加しました。開催概要はこちらをご覧ください。
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会場
▲会場
厚労省による「国の取り組み」紹介からスタート
司会者の紹介を受けて最初に登壇したのは、厚生労働省健康局 がん・疾病対策課 課長補佐の清住雄希氏です。清住氏は『我が国におけるがん対策について』というテーマで、がんの現状や国が行ってきた施策を紹介しました。

最初に清住氏が示したのは、がんが病気による死亡原因1位であり、年間死亡者数は約36万人というデータでした。その対策として国は平成18年に『がん対策基本法』を策定し、以来、がんの予防・早期発見に寄与する各種施策を行っていることを説明。そして現在、第2期計画に基づいて施策を展開中だが、第1期計画で定めた『10年間に年齢調整死亡率を20%下げる』目標達成が難しいと予想されるため、平成27年12 月に『がん対策加速化プラン』を打ち出して取り組みを強化しているとの報告がありました。

次に語ったのは、がん検診の現状と最近の動向です。がん検診の受診率を上げるために厚生労働省では職域におけるがんの普及啓発を進めていると紹介。続いてがん患者の就労や就職支援に関する現状について触れ、がん患者の就労に関する取り組みを強化していることを説明しました。その一例として平成28年度からハローワークで治療と両立できる求人の紹介を全国で展開していることを紹介。また労働基準局では「事業所における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」を策定して推進しているが、まだ十分に企業に浸透していないため「事業主に対するセミナーなどを開き、さらなる普及に注力していくので協力していただきたい」と訴え、清住氏は降壇しました。
厚生労働省 健康局 がん・疾病対策課 清住課長補佐
▲厚生労働省 健康局 がん・疾病対策課 清住課長補佐
「治療と職業生活の両立支援ガイドライン」について
続いて壇上に立ったのは、山口産業保健総合支援センター 両立支援促進員の岸野朝子先生です。がんなどの治療を要する会社員に対し、企業はどのように支援するべきか、厚労省が今年4月にまとめた指針『事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン』について解説しました。

まず岸野先生は生涯のうちにがんと診断されるのは2人に1人であるという現状を紹介。5年生存率は約6割以上であり、がんになったからといって全てを諦めなくてはいけないものではないと述べました。さらに新規がん患者の約3分の1は20~65歳までの生産年齢人口であり、年をとってからなるものではないと説明。そのため、職業生活のなかで支えていく必要があり、このガイドラインが作成されたと語りました。

次に両立支援は労働者(会社員)が主治医を通じて事業所に申し出ることからスタートするなど支援の進める手順を解説。続いて山口県の産業保険総合支援センターの活動内容を紹介しました。そして最後に「今やがんは誰がなってもおかしくない時代。職場の一人ひとりが、がんを自分のこと、上司のこと、部下のこととしてしっかりとらえ、このガイドラインを活かして両立支援の環境整備を進めてほしい」と述べ、降壇しました。
山口産業保健総合支援センターの岸野朝子先生
▲山口産業保健総合支援センターの岸野朝子先生
がん対策推進企業アクション資料についての説明
次にステージに立ったのは、がん対策推進企業アクション事務局の水株隼人。がん対策推進企業アクションの事業概要の説明を行いました。まずは働き盛りの女性にがん患者が増えている現状を紹介。がん検診によりがん死亡を減少させるためには、有効な検診を正しく実施することの重要性を説明しました。そして、事務局が実施した「平成27年度 企業におけるがん健診の実施状況」の調査結果を報告。さらに、昨年度からスタートしたがん対策に積極的な企業に対する表彰制度に触れ、積極的にがん対策を推進している企業を今年も表彰すると発表しました。

そして2016年11月25日現在、がん対策推進企業アクションに参画している企業は2172社で、その従業員は560万人以上におよんでいること、全国47都道府県に活動の輪が広がっている現況を説明。「まだ登録されていない企業、健康保険組合の皆様がいらっしゃいましたら、この機会にぜひ参加してください」とプロジェクトへのさらなる参画を呼びかけて終了しました。
がん対策推進企業アクション事務局 水株隼人
▲がん対策推進企業アクション事務局 水株隼人
中川先生の基調講演「職域におけるがん教育の重要性」
続いて東京大学医学部附属病院 放射線科准教授・中川恵一先生(がん対策推進企業アクション・アドバイザリーボード議長)が、『職域におけるがん教育の重要性』のテーマで講演を行いました。

冒頭、先生はこの日来場者全員に配布された小冊子「がん検診のススメ」を紹介。「がんに関する知識がまとめられているので、本日持ち帰り、経営者や社員の皆さんにぜひ読んでいただきたい」という呼びかけで講演はスタートしました。そしてまず紹介したのは、日本人ががんに罹患(りかん)する確率は男性63%・女性47%という2012年のデータ。2016年は男性67%・女性51%と推計され、今や男性の3人に2人、女性の2人に1人ががんになる時代であると語りました。さらに日本では欧米に比べて急激に高齢化が進んだため、がんによる死亡者が増え続けているのは先進国では日本だけと指摘。その背景には対策が遅れ、日本人ががんのことをよく知らないことが影響していると解説しました。

次に先生は、がんの5年生存率は60%以上というデータを示し、がんは少なくとも3人に2人は治る時代であると指摘。それなのに、がんを告知された人が1年以内に自殺・事故死する比率がそれ以外の20倍という状況なのは、がんが“死の病”という誤ったイメージを多くの人が持っているからで、正しいがん教育が必要であると訴えました。さらに、日本では、高齢者と女性の就労者が増えていること、働き盛りの女性に子宮頸(けい)がんや乳がんが増えていることを紹介。今後、働きながらがん治療を続ける人が増えることは間違いないと思われるため、職域での対策が重要になると語りました。

続いて先生は、自らが8年前から全国の中学校で行っているがん教育について紹介。例えば2013年からがんの授業を行っている香川県宇多津町では、親の世代のがん健診受診率が上がった事例を発表しました。そして2017年4月から全国の小学校・中学校・高校で充実した『がん教育』が始まることを紹介し、これにより子供と大人のがんに関する知識の世代間格差がさらに広がると指摘。それをなくすためにも職域におけるがん教育が重要であると再び強調しました。そして、がんと診断された人の8割近くが1年で復職していることから、中小企業でも時短制度を取り入れるなどすれば、復職率はさらに上がると説明。そのためにも、職域における教育を推進してがんに対する理解を深めることが大切と述べ、講演を終了しました。
中川恵一先生
▲中川恵一先生
「がん治療と仕事の両立」
10分の休憩を挟んで壇上に立ったのは藤井社会保険労務士事務所 社会保険労務士の藤井悌一先生でした。冒頭に先生自身もがんから復帰した経験があることを紹介。まずがんと告知された時、発病のストレスに加えて、不本意な失職という事態になると状況はさらに悪化することから、事業主も人事担当者も「明日は我が身」と考えて、冷静に事態を把握し、取り得る対策を実施して欲しいと呼びかけました。そして、がんと告知された場合に患者、企業、自営業者はどのように対応すべきかについて語りました。

次にがんの発症に関連する諸課題に関する話題に移り、自己都合退職は慎重に決める必要があること、勧奨退職に応じるかどうかは労働者の自由であること、安易な解雇はできないようになっていることなどを語りました。また、がんや発症に伴って生じる悩みや心配事に対応する相談先として、山口県がん総合相談窓口やがん診療・相談支援を行っている病院を紹介。がんによる傷病・障害に対して障害年金が受給できることはあまり知られていないので、人事担当者は助言を忘れないようにしてほしいと訴えました。

続いてがん患者の治療や就労に関しては様々な課題があることから、がん患者本人も家族も相談先での助言を受けながら、必要に応じて医療ソーシャルワーカーや社会保険労務士など、多くの専門家の支援を得ることが望ましいことを説明。最後に「私もがん手術後、復帰する際には時差出勤をしました。短時間勤務や時差出勤は比較的難しいことではないので事業主の方は検討して欲しい」と述べ、壇上を降りました。
藤井悌一先生
▲藤井悌一先生
宇部興産におけるがん対策(検診と就労)の取り組みについて
次に登壇したのは、宇部興産株式会社 統括産業医の塩田直樹先生です。まず先生が紹介したのが、宇部興産グループの従業員の疾患に関するデータ。生活習慣病、精神疾患といった疾患になる従業員数を年齢別に示したこのデータをもとに、自社のデータを分析した上で対策を講じることが大切だと述べました。その上で同社では「脳・心疾患リスク管理」「精神疾患リスク管理」「悪性(良性)新生物リスク管理」という3つの重点項目で労働衛生リスク管理を行っていると説明。そしてこの労働衛生リスク管理をしなければ、社員の休務・求職日数に応じて損失が発生する、休務・休職している社員の穴埋めのために加重労働・派遣社員の採用などの問題が起こる、労災申請対処・就業規則制限などにより生産性が低下する、新規人材の採用・教育コストがかかるなど、企業活動に数々の障害が起こると語りました。

次に先生は、宇部興産のがんに対する休務・休職の状況を紹介し、それをもとに構築した一般健診、特殊健診など同社の健康リスク管理の仕組みを解説。同社では独自に健康リスク区分を作成して、段階ごとに通常通勤・就業制限・要休業・就業判定不能という判断を行っている取り組みについて語り、検診をしっかりとシステム化することの大切さを訴えました。

さらに先生は、今後がんで休職して復職してくる人が増加することが予想されるが、その中には身体的・精神的障害を抱えて戻ってくる方もいるため、能力評価の前提として必要な配慮を行う「合理的配慮」が大切と強調。続いて同社の復職支援で使われている「職場復帰支援の流れ」「復帰支援計画書」「産業医意見書」という3つの資料を紹介しました。そして最後に衛生リスク把握のためには、いつ・どこで・何が起きたのか、なぜ起きたのか、どうすればいいのかを異なる立場の関係者が共通の視点で話し合うリスクコミュニケーションがリスクマネジメントにつながると語り、発表を締めくくりました。
塩田直樹先生
▲塩田直樹先生
宇部興産株式会社の取り組みの発表後、中川恵一先生、藤井悌一先生、塩田直樹先生のパネルディスカッションと質疑応答が行われ、山口セミナーは終演となりました。
パネルディスカッション
▲パネルディスカッション
パネルディスカッション
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