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イベントレポート

2015/01/07
がん対策推進企業アクション「札幌セミナー」を開催しました

2014年11月11日、北海道札幌市の札幌エルプラザにおいて〈がん対策推進企業アクション「札幌セミナー」〉を開催しました。全国7ブロックセミナーの第四弾。当日は約160名の参加がありました。
札幌エルプラザで開催された「札幌セミナー」
▲札幌エルプラザで開催された「札幌セミナー」
当日は約160名の参加がありました
▲当日は約160名の参加がありました
直近の施策報告とプロジェクト事業概要の説明からスタート
セミナーでは、まず厚生労働省 健康局 がん対策・健康増進課の中川係長が登壇。平成19年度に「がん対策推進基本計画」が策定されてから今日まで、国がどのような施策を行ってきたかを報告しました。そのなかでは「がん対策推進企業アクション」が、国家プロジェクトとして推進されてきたことも語られ、がん検診・50%受診に向けた各種施策の現状と、就労支援対策にポイントを置いたリポートがありました。
それによれば平成25年の国民生活基礎調査で、がん検診受診率は平成22年の前回調査から全分野においてアップしており、特に顕著だったのが肺がん検診。男性は47.5%と20%以上アップし、女性も37.4%と14%向上したと紹介。受診率向上の要因として、中川氏は自治体における受診勧奨・再勧奨(コール・リコール)の効果を指摘しました。
さらに職域での受診率向上が顕著であることも示し、がん対策推進企業アクションの貢献度が大きいと説明。今後はがんになった人が治療と仕事を両立させる就労支援にさらなる注力が求められると語り、ハローワークや拠点病院などへの働きかけとともに、2014年2月から就労支援の検討会を設置していることも紹介しました。
厚生労働省・中川係長。最近のがん対策施策の状況などを説明
▲厚生労働省・中川係長。最近のがん対策施策の状況などを説明
次いで登壇したのは、がん対策推進企業アクション・事務局長の大曽根哲氏です。「がん対策推進企業アクション 事業概要」として、まず日本におけるがんの現状を紹介。日本は年間約80.5万人のがん患者が生まれている「がん大国」であり、生涯がん罹患(りかん)リスクは男性60%・女性45%であること、さらに医療費は年間3兆1831億円におよび、一般診療医療費全体の11.4%にのぼっていること、年代別・性別では、働き盛りの女性にがん患者が増えていることなどを紹介しました。
その後、がん対策推進企業アクションの活動を詳細に紹介。平成26年10月現在で1353の企業ならびに健保組合がプロジェクトに参加し、その従業員数は約295万人におよぶこと、セミナー開催地の北海道からは37の企業・団体が参加していることを紹介しました。
また当プロジェクト参加にあたっての費用負担は一切なく、従業員の生命を第一に考える企業姿勢は社会から大きな支持を得る点、国家プロジェクトに参加することで日本を代表する推進パートナーとして社会貢献に寄与できる点など参画によるメリットをアピール。今年度からはホームページに問い合わせコーナーを設け、企業・団体担当者からのがんに関する質問に個別に対応できる点を説明し、未加入団体へプロジェクト参加を呼びかけて降壇しました。
事業概要を説明する大曽根事務局長
▲事業概要を説明する大曽根事務局長
推進パートナー勉強会
続いて行われた推進パートナー勉強会では、まず株式会社キャンサースキャン代表取締役・福吉潤氏が登壇。パートナー企業に実施したアンケート結果を報告しました。調査の目的として「現状の把握=職域におけるがんというものの課題の可視化」「受診率向上に寄与する取り組みの調査=どうやって受診率が上がったかを知る」「就労支援の実情把握=がんになった人への支援内容を把握」と説明しました。
そしてプロジェクト参画企業(社員数1000人以上から100人未満まで)の411社・団体から得たアンケート結果を「平成25年度推進パートナーがん検診受診率現状調査より」と題し分析・解説しました。それによると、1社あたりのがん患者(社員)は平均8.0人で最大値が370人。この数字から今やがん対策は大きな経営課題であることが浮き彫りになりました。
また企業・団体をがん検診の受診率により「低(40%以下)」「中(80%以下)」「高(81%以上)」と3グループに分類し、施策を調べた結果も発表されました。全体結果として「企業が検診費用を負担する・しない」は受診の阻害要因になっていないと判明。しかしそれは一般健診との同時受診が行われている胃がん・肺がん・大腸がん検診についてであり、別に予約などが必要な乳がん・子宮頸(けい)がん検診は結果が異なると語られました。つまり『ついで検診』である胃がん・肺がん・大腸がん、『わざわざ検診』である乳がん・子宮頸がん検診には別のアプローチが必要で、後者は費用負担と受診時間の就労扱いなどのサポート、行動を促す啓発が必要と指摘しました。
また報告の最後には就労支援への課題も提起されました。がんの罹患は個人情報でありセンシティブな事柄。そのため、現状は突っ込んだ調査がなされていないと語られ、知らない限りは支援できないこと、事実90%の企業・団体が就労支援をしていない現実を示し、一歩踏み込んだ調査やサポートが重要と示唆しました。
就労支援が今後の大きな課題と指摘した福吉氏
▲就労支援が今後の大きな課題と指摘した福吉氏
メインプログラムは中川先生の基調講演
がん検診の重要性を説明する中川先生
▲がん検診の重要性を説明する中川先生
メインプログラムは、東京大学医学部附属病院放射線科准教授・中川恵一先生による基調講演。「がん対策推進企業アクション」アドバイザリーボードの議長でもある中川先生が、長年のがん治療に基づいて「がん検診」の重要性を訴えました。
先生はまず、一般の方が考える、がんの要因として「うちはがん家系」という考えや、がんにならない予防策としての「焼魚・焼肉の焦げを食べない」「日の光を浴びない」なども誤りで、がんについての正しい知識をもつことが重要であると説明しました。
次いで、がん発生のメカニズムを解説。1日に6000億回といわれる細胞分裂の過程で起きるコピーミスが、がんであること。その多くは免疫細胞によって退治されるが、ひとたび見逃されたがん細胞は成長し、塊のがんになっていく。このコピーミスや免疫の取りこぼしは老化によって増えること。そして喫煙・飲酒・食の欧米化・運動不足など生活習慣の乱れによって、がん発生リスクは一層高まるという概要でした。つまりは、がんは一種の老化現象で、生きている時間が長いほどその確率が高まることを説明。そのため、世界でも急速に高齢化が進む日本では、史上空前のハイペースでがんも増えており、先進諸国においてがんによる死亡が減少しているにもかかわらず、日本だけが増え続けている事実が語られ、その原因はがん検診の受診率の低さ、学校でがんについての教育がなかったためだと指摘。今後は文部科学省の施策として、数年後に学校で「がん」の授業が始まることを紹介し、大人の教育は職域でしなければならないと語り、職場における啓発を呼びかけました。
次に、日本では働き盛りの20代・30代女性に乳がん・子宮頸がんの罹患が多く、同世代のがん患者数は男性を大きく上回っている事実を紹介しました。一方で40代を超えると男性がん患者が一気に増えるため、女性の社会進出や高齢化・雇用延長が進む社会では、職域においてがん患者が増えることになり、今後、人材損失の大きな問題になっていくと説明しました。
また、延命治療などは進化したものの、完治に導く治療はさほど進化しているわけではなく、がん死亡を減らすには今でも「予防」と「早期発見・治療」が大切だと強調。ただ、がんの早期発見というと、わずかでも異変があったら病院に行くことと思っている人が多いが、がんは症状を出しにくい病気で、健診で発見できる1cm大になるまで10年~20年を要することを説明。その後、2cmへの成長は約1~2年と早いため、年1回、必要ながん検診を受けていれば、早期発見と治療が可能。先生はそう語って、職域におけるさらなる取り組みを促し、早期発見なら放射線治療などで通院治療も可能で、働くがんサバイバーへの就労支援が重要と呼びかけました。
講演後は先生への質疑応答コーナー。参加者から前立腺がんのPSA検査導入について見解を尋ねられ、先生はアメリカの調査などを例に挙げて丁寧に回答。講演を締めくくりました。
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